男性のパーマは、いつの時代もトレンドを生み出し続けています。「爽やかさ」「天然」「チャラさ」「いかつい」といった、さまざまなイメージを形作ってきたメンズパーマですが、各時代のメンズパーマのトレンドやパーマが形作る印象に、どのような変遷があったのでしょうか。コスモのグループ企業であるヘアケア家電メーカー「クレイツ」韓国法人ブランド “Repit(レピ)”のパーマ機器「ブラックピンパーマ」に触れながら、美容大国韓国から来ている最先端のパーマヘアとトレンドも絡めて、現在のツイスト・スパイラルパーマの礎を作った「GOALD」代表取締役の佐藤拓弥氏に伺いました。

日本のメンズパーマの歴史「オシャレだけではなく“整える”という清潔感が重要」

パーマが広がり始めたのは1950年代後半ぐらいからと言われています。徐々に広がっていき、60年代後半にはロッド・スチュワートなどのウルフカットが70年代にかけて流行。70年代には、コスモが生み出した“パンチパーマ”と呼ばれる男性のパーマスタイルやアイロンパーマが一大ブームとなりました。そして、80年代から90年代はふんわりやわらかいパーマ、その後、ロングヘアを生かしたボディパーマが登場。

00年代に入るとウルフベースで毛先を遊ばせるパーマが流行り、韓流のトレンドなどからさまざまなスタイルが生まれました。現在ではツイストパーマ、スパイラルパーマが主体となり、韓流スターやK-POPアイドルをはじめ、日韓のアーティストなど、各界隈で人気を集める著名人たちも取り入れています。

 「パーマは男らしさのほか、中性的、色気などそれぞれニュアンスが出せます。韓国に目を向けるとナチュラル系とパーマ系の2つに極端に分かれていますが、まだ日本よりはナチュラル系が多いように見受けられます。」(GOALD 代表取締役 佐藤拓弥氏/同)

佐藤氏によると、パーマは発祥時より、オシャレに加えて“整える”ことが前提にあったと言います。「パンチパーマもシルエットが整っている。身だしなみとして発展していき、そこから柔らかさにつながる。その後00年代までは、ハネさせたり、ふわっとさせたり、オシャレ感が強まって流れてきた印象です。スタイリング剤をつけずに作り込みすぎず、かき上げても戻って来る、といった形ですね。」

外国人への憧れから日本人向けのスタイルへ、芸能人のマネから美容師が提案するスタイルへ

フォークソング時代に流行ったロン毛パーマは“外国人のクセ毛”への憧れも強かったのではないかと言います。そして80年代から徐々に、日本人と外国人の顔の骨格の違いを分析し、日本人の骨格に合わせて流行りの髪型を実現させていく、つまり“日本人らしさ”が髪型の中に生まれ始めました。

「欧米人と比べて日本人は絶壁であったりはちが張っていたり、おでこが平たく横顔がフラットに見えやすいので、髪でボリュームを足す、凹凸を出すといいう進化を見せてきたのだと思います。」

さらに正面から見て“ひし形”となるシルエットがトレンドとなったのが、90年代以降。この時代、街はこの“ひし形”カットであふれていました。00年代以降は、その頃からさらに“髪型を作る”という概念が広がって、自然と髪型への意識の高い人とそうでない人との隔たりが生まれ始めました。髪型の文化が、“芸能人のマネ”から、“美容師が作るもの”にスライドしていったのです。カリスマ美容師という言葉が生まれ、彼らが作る髪型のヘアカタログが大流行していきました。

「僕的に革命だと思ったのが、あるドラマの主演俳優がしていたパーマ。ウルフのシルエットで毛先にはカールが少なく、根本と中間にウェーブがある。パーマの動きや髪色も含めて、当時あのスタイルには衝撃を受けました。この時代、パーマは圧倒的に“スパイラルパーマ”が増えていきました。パーマが強く、毛先がくるんとしているほど柔らかさ、可愛らしさが出ますが、あのヘアスタイルは毛先がすっと抜け感があるので、それが男性にも合っていて格好良かったですね。」

スパイラルパーマ(ツイストパーマ)は、平成以降、形を変えつつ流行し続けていると言います。

「強いパーマのジャンルなのですが、それに対応できるほどパーマの“薬剤”も発展してきています。以前はパーマをかけたら髪の毛が痛むという時代でした。しかし今は、薬剤の使い方、ダメージへの理解について、美容師の知識も上がっているので、強いパーマでも髪を痛めることなく実現できるようになっています。」

近年、メンズヘア専門サロンが急増“髪型自由”に対する意識の変化

パーマの歴史が日本人の頭の骨格をフォローするよう変化していきましたが、こうしたツイストパーマ、薬剤や技術の進化により、それぞれの“個性の表出”と、“コンプレックスの解消”も可能になっています。00年代をステップにして、男性の美意識も徐々に進化した結果、メンズヘアサロンが10年頃から広まり始めました。当時は店舗数が少なく「都心にあるのみだったので、なかなか出向くことができない人も多かった」と言いますが、ゆえに憧れが生まれ、そこで美容師を志した人たちが修行し、次々と「メンズヘアサロン」を出店し始めているのが現状なようです。

「あくまで、男性の身だしなみは理髪店でしか整えられない。サロンにいると、女性のお客様のなかで肩身の狭い思いをしている方も少なくなかったように思います。以前は男性があまりオシャレに寄りすぎると『チャラい』とか『男らしくない』といった世間の風潮もありました。しかし男性の美意識が肯定されていき、そこにメンズメイクや韓国トレンドが加わり、ここ数年で『メンズヘアサロン』が一気に増えたなという印象です。」

パーマにおいては、派手すぎないオシャレという技術の進歩も相まって、社会の認識も変化しつつあります。“髪色自由”を大々的に発表する企業も増え、髪型や髪の色で遊ぶことに嫌悪を抱かない意識、社会人でもオシャレなパーマで出歩く人が街に増加しました。また、パーマのメリットはオシャレだけではありません。スタイリングしやすいので会社へ行く際の朝の身だしなみを整える時間が短縮され、余った時間を別のことにも使えます。タイパにも良いのです。

韓国で話題のブランド “Repit(レピ)” から「ブラックピンパーマ」が日本初上陸

2024年6月、韓国からのトレンドも、新たなパーマ技術が日本初上陸。コスモは、韓国発のプロ用スタイリングギア「レピ ブラックピンパーマ」を発売しました。「レピ ブラックピンパーマ」は、4段階の温度調節可能でさまざまな髪質に合わせた施術ができ、6つのロッドサイズで細やかなニーズに応じたヘアデザインを叶えます。また、頭皮が熱くならない設計で、トレンド韓国ヘアのポイントである「根元からしっかりボリュームアップ」も可能。トレンドのメンズパーマスタイルを自由自在に叶える、これまでになかったコンパクトでスタイリッシュなスタイリングギアです。

佐藤氏は「レピ ブラックピンパーマ」のオフィシャルパートナーを務めています。

「韓国トレンドとして、トレンドのメンズパーマスタイルを自由自在に作れるスタイリングギア『レピ ブラックピンパーマ』が入ってきました。熱が与えられる幅が広いことが一番特徴なのですが、この技術によりゆるいカール、毛先だけを曲げるというようなこともやりやすくなり、さらには持ちがよくなった。すぐ落ちる心配がない。同時にパーマは濡れている時に一番色気が出るのですが、この熱を与える技術により、ドライでふわっとした質感なのにパサパサしない。ハリやコシもある。このようにパーマは今も進化し続けているので、ぜひチャレンジしてみてほしいですね。」

  • 株式会社GOALD 代表取締役社長。 ベルエポック美容専門学校卒業後、都内有名店を経て「GOALD」 の立ち上げに参画。 店長、プロデューサーを経て、23年4月、代表取締役社長に就任。 ケアパーマ、ツイストスパイラルパーマを生み出した、令和のメンズパーマブームの立役者。クレイツ韓国法人ブランド “Repit(レピ)” のオフィシャルパートナーであり「ブラックピンパーマ」の施術普及に努めている。
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